アイリーンはまだ暗い部屋で目を覚ました。きっと眠れないだろうと思っていたが、いつの間にか眠っていたらしい。暖炉に火の気はなく、部屋は
冷え切っていた。かじかんだ手に息をかけると、息が白く広がった。午前5時。いつもと同じ朝を迎えたのだ。彼女は器に張っている薄い氷をそっと
割って顔を洗った。そしてシャツとレギンスを履き、その上に氷のように冷え切った鎧を着込む。赤と銀の装飾が施された黒い鎧から漂う冷気に、
首筋から背
aion rmtいつまでもいつ筋に渡って軽く鳥肌が立った。毎朝のように体に伝わるその感触は、アイリーンの一日が始まったことを告げる合図でもあった。アイリ
ーンが外に出ると、アマンが待機していた。彼女はアマンと一緒に早朝勤務隊の交代を見守り、兵士たちを率いて野獣の庭園を巡察する。歩兵たち
は凍てつく風に体を震わせ、眠い目をこすりながら彼女の後に続く。ゴダード城の領地は荒涼として寂寞とした土地だ。地殻が不安定なので、火山
活動や小さな地震が絶えない。その上、北の休火山は火竜ヴァラカスの棲処になっているので、いつ爆発するかわからない火薬を抱えているような
ものだった。乾いた土と岩を貫いて育つことのできる生命は、苔と数種類の雑草だけだった。木は強く吹き付ける風を防ぎ、少しでも栄養分を吸い
上げるために奇妙な形に育っている。