エルフは、自分が生きているのか死んでいるのかすら分からなかった。淡いグレーに変わった風景の中で、彼が向かい合っているウルフの二つの瞳
だけが鮮明な緑に輝いた。一目見てその巨躯がわかるウルフと自分が同じ目の高さにあるというのが、エルフは不思議だった。しかし、頭の痛みと
虚しくぶらついている自分の足から、その謎はとけた。ウルフは仁王立ちのまま片手でエルフの頭をつかみ、目の前に持ち上げていたのだった。も
う片方の手には、
リネージュ2
RMT恐ろしく巨大な点以外はレンジャーたちが使っているものと見た目にさほど相違ない弓を持っていた。ウルフの開かれた口から顔
を覗かせている短剣のような鋭い牙はどす黒く染まっていた。そして、エルフはとある聞き慣れた単語を耳にする。ウルフが自分に話しかけている
ということに気づくまで多少時間がかかってしまい、最初に何を言っていたのかを聞き逃してしまった。世界樹が根こそぎ抜かれてしまうのが嫌な
ら『封印』には手を出すな。ウルフはどす黒い地面に向けて乱暴にエルフを投げ飛ばした。立ち上がろうとしたが、脚は体を支えることができなか
った。痛みと恐怖の中でエルフは両手で上半身を支えた状態でウルフを睨んだ。枯れ枝と屍を踏みにじりながら進んでいたウルフが足を止めた。ウ
ルフが歩いた道には、どす黒い足跡がくっきりと浮かんでいた。ウルフは答えた。