リネージュ2
RMTアイリーンは部屋に戻り、書類を広げた。内容がなかなか頭に入ってこなかった。何度も同じページを繰り返して読んだ。バカ騒
ぎする声が厚い壁を伝って彼女の部屋まで聞えて来た。― アビゲイルは避けることだってできたんだ! なのにヤツはそうしなか
った。金ってすげーよな? 幼い少女を表情ひとつ代えずに踏みにじれるヤツに仕えてる気分はどうだい?楽しいかい?ダークエル
フの声が耳もとでこだました。アイリーンは苛立ちながら見ていた書類を投げた。今回の戦闘で城が受けた被害についての書類が
空に浮び上がると、バサリと床に落ちた。ノックの声とともに、アマンが入ってきた。アイリーンはとっさに背を向けた。動揺し
ている姿を見られるのが恥ずかしかった。アマンは書類を拾うと、きちんと揃えて机の端に置いた。密偵がいたようです。点呼を
したんですが、一人消えていました。戦闘後には明らかにいた者ですどうやって城から抜け出したのかしら?どうやら下水口から
抜け出たようです。汚物と悪臭に耐えられれば通れますからね。しばらく使っていなかった門が最近開けられた痕跡を見つけまし
た。錠を新しいものに交換して警備をつけておきました。それと城門や重要なところは新入ではなく、昔からいた者を配置させま
したアイリーンは机にうつぶせた。頭が割れるほど痛かった。ここ最近きちんと横になれる日がなかった。アマンは出て行かなか
った。視線を感じてアイリーンは顔を上げると、アマンが慰めるかのように温かい目で彼女を見つめていた。長い間忘れていた暖
かいオーラがアイリーンを包み込んだ。