階段は既に通過儀礼となっていた。リネージュ2
RMT兵士たちは慣れた動きで隊列をつくり階段を上がった。 角を曲がると、また階段だった。あがった。最後は階段ではなく勾配(こうばい)だった。勾配の上にはホール
が見えた。その手前でプラチナム族らが待機していた。先頭はシャークドーンだった。シャークドーンは兵士た
ちを率いて、叫びながら前進した。その後に兵士たちが剣や弓、斧などの武器を手に進んでいった。すぐさま派
手な火花が飛び散った。精霊の光だった。武器のグレードによってそれぞれ多彩な光を発し、壮観だった。これ
が意外な効果をもたらした。一斉に弾けた光に、暗い塔の中で闇に慣れていたプラチナム族が一瞬ひるんだのだ。
その瞬間を逃さずに、氷と風の魔法が降り注いだ。敵が反撃の態勢を立て直したときには、既に味方は目と鼻の
先まで進んでいた。最初の激しい衝突が繰り広げられた。剣と剣が、斧と甲冑が、槍と肉がぶつかり合った。武
器がぶつかるごとに巨大なガラスにヒビがはいるような、耳をつんざく音が響き渡った。兵士たちはひるむこと
なく、立て続けに叫びながら戦った。倒れた者たちの面倒を見る余裕があるものは皆無だった。倒れた兵士が、
飛び出した内蔵をかき集めながら絶望にみちた叫び声をあげた。エリカの長いブロンドが血で染まった。その横
では手首が切れたプラチナム族が傷みにもんどり返っていた。お守りのご利益だ。フィンガーは立ち上がって剣
を突き刺そうとしたが、再び転んだ。プラチナム族の脚にひっかかったのだ。まだ生きているプラチナム族の兵
士はフィンガーの脚をつかんでまた倒した。次の瞬間、脊椎が折れる痛みが襲ってきた。