ョニーとリサが彼を迎えに行った。 ジムが小作していた土地は他人に明け渡され、彼の家も没収さ
れてしまった。 神官を呼ぶために領主につくった借りのせいであった。 ジムは貧しかったが借金な
どしたことはなかった。 たった一度の借金が彼の全てを奪い取った。何日か死の淵をさ迷ったジム
はようやく意識を取り戻した。 村人たちの多くが見舞いにジムを訪れ元気づけた。 しかしそれだけ
だった。 誰も彼を助けることはできなかった。 子供の頃によくジム、ジョニー、リサ、アイシャと
一緒に遊んだ4、5歳年上のマーシャがうつむきながら言った。 彼女はただジムの手をぎゅっと握
るだけであった。「母さんが何であやまるんだよ?」後ろにいたマーシャの長男ビックが文句を言っ
た。 マーシャはビックを睨みつけた。「ジムに会わせる顔がないよ…」マーシャは持ってきた籠の
中から焼きたてのパンとハチミツを一つ一つ取り出した。「このハチミツ、ジェニスが山菜採りに行
った時に見つけたんだ。 これを食べて元気だしておくれよ。 ジェニスがどうしても来れないって私
に持ってってくれって…」 「だから、その件はもう…!」「おまえは黙ってなよ!」マーシャは息
子を叱ると席を立った。彼女は袖で涙を拭うと帰って行った。 マーシャが去った後に、ジムはけげ
んな顔でリサを見つめた。「お前の土地は… マーシャが預かることになったんだ。 家もマーシャの
妹、知ってるだろ? ジェニスが住むことになったんだ」リサが寂しげに言った。