ギラン城の攻城戦については、未だに不審な点が多い。リネージュ2
RMT隣の領地であるディオンやグルーディ オの領主が突然代わり、危機意識が高まっているにもかかわらず、なぜギラン城の支配者カルモンエストス男
爵は、兵力の多くを地竜アンタラスの征伐に派遣したのか。征伐隊の生存者たちはその後どこに行ったのか。
また、当時は一客将に過ぎなかったリオナブラックバードに城を任せたまま、男爵自身はどこにいたのか。しか
出会った者たちにとって、そんなことはどうでもよかった。謀略家たちの支援を受けながら攻城戦へと出陣した
出身の傭兵ジグハルトアインはもちろん、男爵の要請によって城の守備の責任を負っていた少女君主リオナにと
もそれは同じだったと信じている。彼らはまったく同じ「戦乱を呼ぶ者たち」であったからだ。全ての種族が混
沌の予兆を感じ、その危機から身を守るために団結しつつあった。そうしてようやく種族間の信頼が芽生え始め
たところに、大陸全体をゆるがすこととなる戦乱が「人間」から勃発したのだ。アデン王国成立以前からグルー
ディオ領地の支配権を握っていた、ワルドナー家のルーウィンワルドナー男爵が玉座を追われ、新しい領主がそ
の座に座った。新しい領主は、身元もわからない冒険者出身の男だった。多くの領主たちがグルーディオの事件
聞いてから間もない頃、ディオン領地でもアシュトン公爵が反乱軍により権力の座を失い、自分の娘が住むアデ
ンへ逃げ落ちていった。アマディオ国王の派遣したディオン支援軍は、反乱軍の傭兵であるオルマフムたちの妨
害に遭い、ディオン領地に着くこともできなかった。世間ではこの事件を町外れで起きた喧嘩程度に考え、領主
たちがその座を追われたのは、単に支配力が弱かったためだと信じたがっていた。しかし今では周知のとおり、
その後王国が崩壊するまでの時間はそう長くはなかったのである。運命の流れはすでに混沌に向かって突き進ん
でいた。そして後世でも語られることとなる、ある重要な戦いが王国の一番富裕な地「ギラン」で始まったので
ある。