先頭ではユニコーンと豹の一位争いが激しかった。
リネージュ2 RMT ユニコーンは白目を向いて狂ったように走っていた。2匹の獣はしば
らく肩を並べて走っていたが、遂にユニコーンが徐々にリードしはじめた。「やっほ~!」 まんまるに縮まってレーン
を転がっていた芋虫が、ぜんまい仕掛けの人形の小さな車輪に轢かれた。人形は前に倒れ、その拍子に手に持っていた松
明が人形の頭についている芯に火点すると、カチ…コチ…カチ…ドカン!と音を立てて人形が爆発した。車輪は観客席に、
胴体の一部はレース場の正門に掲げられた看板をめがけて飛んでいった。ユーモラスな表情の人形の頭は、ゴールを超え
て騒がしい音を立てて墜落した。 人々の視線は、レース場の上空を飛んでいるもうひとつの丸い物体に集中した。息を止
めた観客が見守る中、まるでグランカインの悪戯のように芋虫はユニコーンの前に落ち、その後もしばらく転がり続けた。
それはまるで永遠にとまることのない悪夢の車輪を連想させた。
熱い日差し、必死に目の前を駆ける閃光のように真っ白なユニコーン…。黒い豹は、長いこと忘れていた『追う』という感
覚を取り戻しつつあった。豹は夜の世界に君臨し、精霊界を行き来しながら狩りをしていた存在だった。目の前のユニコー
ンは、ユニコーンにしては足が速いほうだったが、自分から逃げ切るぐらいではないと豹は思った。今飛びついてしまおう
か?いやいや、もう少しじらしてから…。豹は『追う』という感覚に限りなく胸を躍らせながら、この快感がすこしでも長
く続いてくれることを祈った。
裂けるような歓声と叫び声とため息と悪態がひとつの騒音になってディオン領地を震わせた。観客が撒き散らしたレース券
がまるで雪のようにレース場の周辺に舞い散った。レース場周辺を徘徊していた数匹のウルフはその音に驚いて、一目散に
逃げ出した。レース場と観客席の間を仕切っている柵が、押し寄せてくる観客のせいで激しく揺れた。ついに柵が壊れると、
数人は人の波に飲み込まれて姿を消し、一部の観客はまだレーンに残っていたモンスターやその飼い主のそばに攻め寄せた。
彼らはレース場主催者が万が一のために雇用しておいた傭兵たちに乱暴に制止されていた。