エルソード RMT東証2部に上場していた建設会社「井上工業」(群馬県高崎市)の架空増資事件で、警視庁に逮捕された同社元社長・中村剛容疑者(68)が増資の1か月前に、東京都内を拠点とする金融ブローカーに増資への協力を依頼していたことが、捜査関係者への取材でわかった。
依頼を受けたブローカーが投資ファンドを使った第三者割当増資を提案。ファンド代表・奥村英容疑者(61)らが架空増資を持ちかけていたという。同庁は金融ブローカーについても金融商品取引法違反(偽計)などの容疑で逮捕状を取って行方を追っている。
捜査関係者などによると、中村容疑者は架空増資の1か月前の2008年8月下旬、東京都内のホテルで都内を拠点とする金融ブローカーと面会し、「増資をしたい。資金調達できなければ監理ポストに入ってしまう」と協力を要請したという。当時、同社は資金繰りが悪化しており、増資などの対策を講じなければ、2日後に迫った関東財務局への四半期報告書を提出できず上場廃止の恐れもあった。しかし、RMTブローカーが提案した第三者割当増資の資金が集まらなかったため、9月24日に奥村容疑者のファンドを迂回(うかい)させる架空増資が行われた。同社は増資の翌日、奥村容疑者の投資ファンド側に報酬として1億8000万円を支払ったという。