最初に受けた印象とは違い、エルフは荒っぽく冷たかった。彼はバランスを失いよろけている相手も、逃げる相手も許さなかった。鋭い二本の
エルヴンロングソードが彼の手先で絶えず鮮血を振りまく。エリカが隠れて見ている間、エルフはすでに6人を倒していた。最後は後から彼を狙
っていた弓兵だった。弓を精一杯引いた瞬間、エリカは見た。弓兵の首が急に折れて、矢は全然違う方向に飛んでい
tera rmtってしまったのだ。弓兵の頭
を飛ばしたのは、拳の大きさほどの光輝く物体だった。輝く物体はエルフに戻ると、まるで次の標的を指示してくれというかのように浮かんでいた。
エルフは一切れの同情心もこもってない鋭い目つきで犠牲者を見下ろした。
その視線が一瞬、霧の中に身を隠していたエリカの方に向けられた。エリカはエルフの無表情な顔が、時に怒ったダークエルフやオークよりも恐
ろしいという事が分かった。エルフは二本の剣を構えたまま呟いた。ゆっくりと息を吐くと、彼の身からかすかにオーラが走った。まるで強い香
りが漂う花に虫が集まって来るかのように、傭兵たちが武器を持ってエルフに近付いた。仲間の残酷な死が何の警告にもならなかったのか、傭兵
たちはかすかな笑みさえ浮かべていた。エリカは自分がしていたことに気付いた。なぜか自分も身を隠していた霧の中から出てエルフに向かって
歩いていた。手に持っていたダガーがあまりにもみすぼらしい武器のように思われた。エルフの戦いが再び始まった。傭兵たちは再びエルフの二
本の剣で命を失った。エリカはエルフから顔をそらすように努力した。彼女が目を向けた先ではデストロイヤー、シャークドーンが小さいハンマ
ーを持ってエルフに飛びかかろうとするドワーフを蹴飛ばし、湖に投げ込んでいた。シャークドーンはその後両手のジャマダルを誇示するかのよ
うに広げて、エルフに向けて躊躇なく近づいていった。