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RMTアラド戦記 RMT

アラド戦記しなくてもいいよ
投稿日時:2011年04月18日
アラド戦記 RMT暗く静寂の漂う都市。一定間隔で浮かび上がる炎の光が一層寂しい雰囲気を醸し出している。そう、「魔界」と呼ばれる
に相応しい場所なのだ、ここは…。 あまりにも静かで陰鬱とした都市の風景を、窓からそっと見つめている女性がいた。
『おいヒルダ。我々はこの世界を救出するために来た使徒だ!そうだろ?ははは!』[カシヤス]の話がずっとヒルダの頭
を離れなかった。『世界を救出する使徒か…、この世界を救う価値などあるんだろうか。』 窓の外を眺めながら呟いてい
たヒルダは、ふと振り返り家族の写真に視線を向けた…。最近決まって同じ夢を見ていた。 眩しい太陽の光に照らされた
その場所はヒルダの故郷である惑星。家の前にある公園で散歩する家族を見つけた、ヒルダはあらん限りの声で呼んだ。
彼らは…、彼らには聞こえないようだった。突然、耳がひきちぎれそうなほどの膨大な破裂音が聞こえた。大きく揺れる大
地はあちこち裂け、貪欲に口を開いていた。ヒルダは何が起きたのかを知っていた。テラの滅亡。家族の死。もうこれ以上、
放っておくことなどできない。血を吐くように家族の名を一人ずつ叫んだ。しかし彼らには聞こえない。流れるヒルダの涙
は地に落ちても痕跡を残さない。木の実を切り取るように地の底へ落ちて行く都市の上に独り残されたヒルダは、少しずつ
遠ざかる家族の姿を見守りながら絶叫していた。理性はすでにこれが夢であることを理解していたが、その時の感情…、胸
の奥に染み渡る絶望と無力感はいつ感じても慣れることなく鮮明であった。ああ…、なぜもう一度こんなことを体験させる
んだろうか。視野から少しずつ遠ざかり爆発する故郷の惑星は、夢の中で何度も、限りなく凄絶で美しい炎の光を放ち、花
が散るように落ちていく。彼女はまた全てを失うことになる。また全てを…。『私を[嘆きのヒルダ]と呼ぶらしい。よくな
いわ、本心を表に出すのは。』何かを呟く彼女の表情には彼女の呼び名とは違った感情を読み取る事ができなかった。彼女
は外に出てどこに行くともなく歩き始めた。崩壊した廃墟をどれだけ歩いただろう。幼いメイジが二人でお互いの魔法を自
慢しあい、笑っている姿が見えた。その姿を見てヒルダが呟いた。『先端科学を誇る巨大都市であったここに、メイジたち
が集まって暮らすことになろうとは。滑稽だわ。』 その時、遠くから奇怪で力強い獣の鳴き声が聞こえた。魔法で遊んでい
た子供たちの声が聞こえてきた。
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アラド戦記 RMT