暖かさを感じることができない場所、魔界。
アラド戦記
RMT万物の根源と信じられている太陽の恵みがまったくない魔界のセントラルパーク中央で、
不思議なことに大陸でしか見ることのできない美しい天然の草花が生えている所があった。爽やかな自然の香りの中で一輪の清楚な
水仙を思わせる女性が慈愛に満ちた手で花を撫でていた。そこに一人の女の子が騒がしく飛び込んで来て、平和な風景を一瞬に散ら
かした。ケイトお姉さん! また花ばっかり手入れしているの?魔法をそんなことに無駄遣いしないで私に召喚技術をもっとおしえ
てよ!30歳の年の差はあるがケイトはお姉さんという呼び名を気にしていないようだピピ。私がいつも言っているじゃない。召喚す
ることは技術を学ぶことではないの、この世のあらゆる生命と心が通じた時にこそできることなのよ。 よーし、じゃ私を大陸に送
ってよ。大陸を旅しながら色んな生命にあって仲良くなるから!まだその時ではないの。時が来たらあなたがいやだと言っても行く
ことになるから。ちぇ…お姉さんが精霊たちと意思疎通して、みんながモンスターと呼ぶやつらと初めて召喚の契約を結んだ歳が丁
度私くらいでしょ?私お姉さんみたいにはできないけど、でもうまくやれるはずだよ!』 ケイトはただそっと笑いながら『はい、
わかってますよ。と答えた。またその笑顔!!あーいらいらする!いっそ怒ってもらったら逆らえるのに!世間では無茶な子で通って
いたがピピはすごく賢い子だ。周りの人々はいつもピピが何を召喚するか恐れていたが、ケイトは彼女が自分と同じぐらい召還技術
に情熱を持っている事を感じ、ピピを心から大切にしていた。そんなピピを静かに見ていたケイトが言った。お客さまがいっしゃっ
ているの。迎えに出てちょうだい。大事なお客さまだから丁寧に迎えてね。わかった。…私が行儀悪かったことってあったっけ?
ピピは口を尖らせながら走って行った。