父さんは何とか一命を取り留めたんだけど、
アラド戦記
RMT私の方はその時に鬼にとり憑かれたみたいなんだ。 あの日を境に、腕が少しずつ浅黒く変わっていったからきっとそうなんだと思う。まあ、思い当たるのがそれぐらいしかないしね。 それから父さんはどこからか手に入れてきた太い鎖で私の腕を縛ってこう言ったんだ。「鎖をしていれば力が強くなるから」とね。
とても重かったけど、それでも町内の子供達より力が強くなって言うんで割と楽しんでたよ。 実際にはそれが腕にとり憑いた鬼が心臓へ力を伸ばすのを阻んでくれるものだってことも知らずにね。 父さんが私のためにやってくれたことだし、その時はおまじないだって思ったからね。 だから絶対離さず、必ず鎖を腕に巻いてただ。 ただ一回だけをて……。
ところがその後、家に帰る途中でだんだん息が苦しくなってきてね。 その時には今日は遊びすぎたのかな?ぐらいにしか
考えていなかったね。あの頃は自分の体力以上に張り切って遊んで疲れきってしまうこともたまにあったしね。 でも家につく頃になったら急に楽になってね。ただ、自分の体が自分のものでないような、不思議な感じだったね。 おかしいな、と思っているうちに私の体が勝手に動き出したんだ。自分でも驚くようなスピードでね。 それでそう、夕飯の支度をしていた母さんを吹き飛ばしてしまったんだ。父さんもやっぱり同じようにね……。 そして両親は暴れる私を置いて一目散に逃げ出した。それ以来一度も会っていないね。 うん、とうとう私は両親に見捨てられてしまったんだ。 2人をを追いかけたかったけど、どうすることもできなかったんだ。その時は鬼が私を支配していたからね。