cabal rmt統合をテコに、アジアの主要市場として勝ち残る戦略を強化しなければならない。
東京、大阪の両証券取引所が、2013年1月に経営統合することで正式に合意した。
上場株式の時価総額(9月末)は、統合によって世界2位の規模になる。それでもトップのニューヨーク証券取引所の3分の1にとどまり、大差がついている。
一方で、中国など新興国市場が急成長してきた。東証は株式の売買代金では、すでに上海証券取引所に追い越された。
日本市場の地位が低下し、世界の投資マネーを逃してしまうと、低迷する株価の回復も、日本経済の安定成長も望めまい。
東証は現物株の国内取引で9割を占め、大証は株価指数先物などのデリバティブ(金融派生商品)に強い。双方の特長を生かした、総合力の高い市場に脱皮することが求められよう。
統合ではまず、東証が株式公開買い付け(TOB)で大証株の過半数を取得し子会社化する。
そのうえで、大証を存続会社とする持ち株会社「日本取引所グループ」を設立して経営統合し、傘下に東証と大証が入る。いずれ、現物株や先物取引など事業別の子会社に再編成するという。
東証と大証の統合は、長年の懸案だったが、統合比率などの調整が難航し、正式合意まで時間がかかった。今後の再編作業はスピードアップすべきだ。
東証など既存の証券取引所は、RMT取引所外で売買注文を成立させる私設取引システム(PTS)などに顧客を奪われている。対抗するには、売買注文の処理能力を高めていくことが課題だ。
経営統合でシステムが一本化すれば、設備投資などの負担が軽減するメリットが期待される。
国内には札幌や名古屋など地方証券取引所や、東京工業品取引所などの商品市場もある。
将来、これらも集約し、幅広い証券・金融商品を取引できる「総合取引所」に衣替えすれば、投資家にとって一段と便利な市場となる。実現を目指してほしい。
日本で上場する外国企業を増やす取り組みも重要だ。英文による情報開示の拡大などで、外国企業の上場を促進してはどうか。
東証に上場する外国企業は1991年の127社をピークに減少し、現在はわずか12社だ。
アジアなどの成長企業を積極的に呼び込んで、日本離れに歯止めをかける必要がある。