ラテール RMT大王製紙前会長の特別背任事件で、前会長・井川意高(もとたか)容疑者(47)の借り入れは、社長から会長に退いた6月以降に急増し、問題発覚までの3か月間で、それまでの倍の約100億円に膨らんでいたことが23日わかった。
社長退任前には父親の前顧問・高雄氏(74)に借り入れを叱責され返済を命じられており、東京地検特捜部は、井川容疑者が借入金をカジノで取り戻そうと焦り、逆に損失を拡大させたとみている。
井川容疑者は2007年6月、42歳で社長に就任。井川容疑者はこの頃、株式の先物取引や外国為替証拠金取引(FX取引)で数億円の損失を出す一方、たまたま訪れたカジノでもうけたのがきっかけでギャンブルにのめり込んでいった。
関係者によると、当初は個人の資産でカジノに通っていたが負けが込み、09年頃からファミリー企業からの借り入れを始めたという。10年5月には、ファミリー企業を迂回(うかい)させる形で、初めて連結子会社から5億5000万円を借り入れた。
しかし、今年3月、高雄氏がこの“迂回融資”の事実を把握。ラテール RMT井川容疑者を厳しく叱責し、返済を命じた。井川容疑者は一部を返済したが、6月の取締役会で社長を退き、会長に就任した。この際、井川容疑者以外の取締役11人も退任・降格しており、同社関係者は「当時は理由は明かされなかったが、今思えば、不祥事を受けた事実上の降格人事だったのだろう」と話す。