2010年12月25日から30日にかけて,東京都内のベルサール秋葉原にて,第2回「秋葉原PCゲームフェスタ」が開催されている。このイベントは,PCショップ「ドスパラ」(サードウェーブ)が主催する,国内最大級のPCゲームの祭典である
エルソード RMT。
サードウェーブ 代表取締役社長 尾崎健介氏
初日となる12月25日に開催されたオープニングセレモニーでは,サードウェーブ 代表取締役社長
尾崎健介氏が,主催者として最初の挨拶を行った。尾崎氏は,PCや家電をはじめ,ゲームやアニメといったカルチャーの最新トレンドを発信する秋葉原か
ら,PCゲームを盛り上げたいと,秋葉原PCゲームフェスタの企画コンセプトを説明。今回,第2回を開催できたのもPCゲーマーのおかげと,来場者に感謝
の意を述べた。
また,会場では最新のPCゲームタイトルを最新のPCで楽しんでほしいと述べる一方で,PCゲームに馴染みがない人にも,まずは触れてみて,どういうものなのかをぜひ感じてほしいと呼びかけた。
一般社団法人日本オンラインゲーム協会(JOGA) 会長 植田修平氏
続いて,来賓として登壇した一般社団法人日本オンラインゲーム協会(JOGA) 会長
植田修平氏は,昨今,オンラインゲーム市場が拡大していることに言及。その中でもゲームの楽しみ方が多様化していることに触れ,例としてブラウザゲームや
ソーシャルゲームの台頭と,ジャンルの多彩さを挙げた。続けて,オンラインゲームの醍醐味とは,コミュニティとライブ感の二つであると述べた。
また植田氏は,今回の秋葉原PCゲームフェスタの開催に関して,より多くの人に楽しんでもらえるのではないかと期待をのぞかせる。さらにメーカー/パブ
リッシャがいいゲームを,サードウェーブのようなショップがいいPCをそれぞれ提供することで,業界を盛り上げていきたいと展望を示した。
マイクロソフト ホーム&エンターテイメント事業本部 デベロッパーネットワークグループ プログラムマネージャー 鵜木健栄氏
もう一人の来賓として登壇した,マイクロソフト ホーム&エンターテイメント事業本部 デベロッパーネットワークグループ プログラムマネージャー
鵜木健栄氏は,WindowsとPCか生み出すエンターテイメントには大きな可能性があると述べる。さらにネットワークゲームのみならず,ツールとして
も,さまざまな方向で新しい遊び方を提案できるだろうと続けた。
秋葉原PCゲームフェスタは,3人の登壇者によるマウスクリックで幕を開けた
「アスタリア」の試遊台は,こちらの大型ポップが目印だ
イベント会場の1階には,PCゲームメーカー/パブリッシャなど25社が出展しており,オンライン/パッケージを問わず約60タイトルのPCゲームを試
遊できる。サービス中,もしくは発売済みのタイトルがほとんどだが,中にはWeMade
Onlineが先日αテストを実施したばかりのオンラインFPS「QuakeWarsOnline(クエイクウォーズオンライン)」や,アラリオが2011年春にサービス開始を予定しているMMORPG「アスタリア」も出展されているので,会場に足を運ぶならぜひ実際にプレイしてほしい。
「QuakeWarsOnline」の試遊台。足を止めて興味深そうに見入る人が多かった |
「アヴァロンの鍵オンライン」の試遊台には,プレミアムディスク(簡易スターターキット)が置いてあった。もちろん無料 |
オンラインゲームだけでなく,パッケージのPCゲームも出展されている
エルソード RMT
エルソード RMTそのほか,来場者の注目を集めていたのは,3D立体視コーナーだ。大画面でプレイできる「フロントミッション エボルヴ」をはじめとした各試遊台の前で,多くの人が専用メガネをかけて3D立体視を体験していた。
また全体的には,短い時間でも楽しめるFPSやアクションゲームが人気だ。こういったイベント会場だと,腰を落ち着けてジックリ取り組まないと面白さが伝わりにくいオンラインRPGは不利なのだが,それでも「ドラゴンネスト」や「ELSWORD」といったアクション要素の強いタイトルでは,学生の集団がプレイしている様子が見受けられた。
会場の地下1階では,連日,出展各社主催のステージイベントが行われる。いずれも入場は無料なので,タイミングの合う人はこちらも訪れてみよう。ただし
ステージによっては,当日に整理券が配布されたり,事前登録しておくと特典をもらえたりすることもあるので,事前のチェックをお忘れなく。
もちろん4Gamerでは各ステージのレポートをお届けしていくので,そちらもお楽しみに。
エルソード RMT
取材中,サードウェーブホールディングス(PCショップ「ドスパラ」の運営会社)代表取締役社長の尾崎健介氏のお話を少しだけ聞くことができた。本稿の
締め括りとして,「自作PCメーカー」が行うものとしては割と大規模な本イベントを主催する,若き社長(33歳)の真意を聞いてみよう
エルソード RMT。
4Gamer:
お疲れ様です。今日はずいぶん寒いので,お客さんの入りがちょっと心配でしたが,順調そうですね。
尾崎健介氏(以下,尾崎氏):
そうですね。前回は10:00AMごろからきっちり始めてしまったので最初がいま一つだったんですが,今回は反省を生かして正午直前くらいからのスタートにしました。出足も好調なようで,ちょっとホッとしています。
4Gamer:
しかしこれ,1Fの展示部分だけじゃなくて地下1階もあるわけで,この規模のイベントを,一社の「自作PCメーカー」――あえてそう呼ばせてください――がやること自体異例だと思うんです。なぜまたこういうイベントをすることになったんでしょうか。
尾崎氏:
うーん……ちょっとキレイごとみたいなので言うのはためらわれますが,やっぱりPCゲーム市場を盛り上げていきたいから,ですね。大きい会社さんは自力
でなんでもできるので問題ありませんが,やはりそうでない会社さんも多いですし,「何かやりたいけどコストも時間もキツい」というゲームメーカーさんが
ユーザー数を増やすために,何らかの貢献をしたいと思っています。
4Gamer:
こういう,ある種メーカーさんを束ねる役割という意味では,御社はゲーム業界の中で偏った色を持ってないので,非常に良いかもしれませんね。
尾崎氏:
そうですね。たとえばどこか一社の方がまとめるのは厳しいでしょうし,かといって4Gamerさんみたいなところがやるのもきっと難しいでしょうし(笑)。
4Gamer:
出展料はいくらなんですか?
尾崎氏:
取っていません。……言っちゃってよかったんだっけこれ。まぁいいか(笑)。
4Gamer:
じゃあ,下世話な言葉になっちゃいますが,全部サードウェーブさんの持ち出し?
尾崎氏:
そうですね。そういう感じで間違いないと思います。
4Gamer:
経済全体がなんとなく停滞していて,まだまだ不景気感が抜けないこの状況下で,御社をそこまで突き動かすものはなんでしょう? 言うならば,完全持ち出しなうえに,直接的には1円の利益も生み出さないわけですよね。
尾崎氏:
そうですね。直接はなんの利益も出ませんね(笑)。でもやはり,繰り返しになってしまいますが,PCゲーム業界そのものに盛り上がってもらいたい,とい
う点以外にはありません。むろんそれは,長期的に見て弊社の利益にもつながることは見込んで――というか期待して――いますが,それとてむろん確約された
わけではありません。
でも業界が盛り上がらないことには,先細りになるのはおそらく間違いのないところで,そんな中で,ある意味メディアさんと同じように第三者的な立ち位置の我々にできることはなんだろう,と考えた結果がこれなんです。
4Gamer:
にしても思い切ったことをしますよね……。しかも年に2回も。
尾崎氏:
いや本当は3回くらいはやりたいんですけど(笑)。でもこのペースは,今後もできるだけ続けていきたいと思っています。
4Gamer:
年に2回,ゴールデンウィークと年末はほぼ確定ラインということですか?
尾崎氏:
はい。そう思っていただいて大丈夫です。
4Gamer:
では,今回は出展できなかったメーカーさんにも,ぜひまた次回,来年ゴールデンウィークに,ということで……。最後に,ええと,「業界の方」に向けて何かひと言お願いします。
尾崎氏:
我々が出来ることをキチンとやることで,日本のPCゲーム市場をどんどん盛り上げていきたいと思っています。今後ともぜひともよろしくお願いいたします。
4Gamer:
ありがとうございました
RMT。