3DMark 11の存在が公表されたとき,argo rmtと名付けられていたシークエンスを用いたもので, 空間光(Volumetric Lighting)の表現が特徴的なシーン構成。深海内の,ちょっと濁りを持った水質
を表現するため,点光源とスポットライト(=ある程度の範囲の方向性を持った光線)を多く配置し
ているのも特徴だ。
空間光(Volumetric Lighting)は,簡単にいうと光の経路上の散乱を表現する手法で,単に光が当た
っている部分を明るくするのではなく,光の経路自体を微発光させるもの。3DMark 11におけるライト
ボリューム生成には「レイリー散乱」「ミー散乱」(※浮遊する粒子の大きさと光の波長の関係でレイ
リー散乱かミー散乱かに分かれる)と減衰モデルが使われている。また,ライトボリュームが影で遮ら
れる処理であるキャストシャドウもそこかしこで用いられているのが分かる。
DirectX 11のフィーチャでいうと,DirectComputeは事前計算と後処理など多くの場面で使われている。
ほとんどの演算は実数ベースだ。
なお,このテストではテッセレーションは用いられていない。ジオメトリ負荷はかなり軽く,エフェク
トはかなり重いシーン構成となっている。
Graphics Test 1(以下,GT1)と同じ深海のシークエンスを用いたもの。GT1と同様の空間光を駆使した
奥行きのある深海表現に加えて,沈没船や岩,海底,珊瑚の表現には,テッセレーションによるディスプ
レースメントマッピング(Displacement Mapping)が駆使されている。
GT1と比べて,被写界深度(Depth of Field)を利用した,距離によるボケ味の変化を顕著に確認できる
。3DMark 11では,ジオメトリシェーダを使った,いわゆる「スプラッタ式」のボケが実装されており,
距離に応じて最大32×32ピクセルまでのBokehテクスチャが適用される。ちなみに,「Bokeh」は日本語由
来のボケを意味する単語だ。
また,光芒やレンズフレアなどは,光の周波数成分ごとに処理されたものが使われているとのこと。