続いては,「フリーターゲッティング」を中心としたバトルシステムについて。本稿では状況によって“ノンターゲッティング”(MMORPGの従来の定番「ターゲッティング」の必要がないスタイル。一般用語として)と“フリーターゲッティング”(ノンターゲッティング+α。TERA独自のスタイル)を使い分けている。
まず,誰もが感じるであろう「ターゲットできないと難しいんじゃないの?」という疑問に対してだが,序盤は難度がかなり易しめに作られている。ボタン連打をしなくても,押しっぱなしで自動的に連続攻撃が繰り出されるので,モンスターの正面で仁王立ちしながら通常攻撃ボタンを押していれば,余裕で倒せてしまうほどだ。潮田氏に理由を聞いてみたが,これは序盤だからだそうなので,後半になれば複雑な動きをしてくる敵も現れるのだろう。
以上の点を踏まえつつ,
TERA RMTのフリーターゲッティングの実力を,少し深い所までチェックしていこう。通常攻撃の範囲は職業(装備した武器)によって異なり,近接攻撃職はゲーム内の距離にして3m前後,アーチャーだと最長で15mだ。この距離は目安で,大きく踏み込んだ後に渾身の一撃を繰り出すスキルなど,戦い方によって有効な距離は微妙に違ってくる。
一般的なMMORPGの感覚だと,まず最初にクリックやTABキーなどで敵のターゲットを行うが,TERAではその必要がない。代わりに,敵との間合いを測る必要があり,これがなかなか新鮮だ。レスポンスも良好で,キャラクターを動かすことそのものが,気持ちいいと感じられた。「ランサーだとこれくらいでも当たるのかな?」などと考えながら,モンスターの出鼻をくじくように攻撃をヒットさせた瞬間など,思わずニヤリとしてしまう。
敵の動きを見極めることで,ある程度有利に戦えるのも,フリーターゲッティングならではの醍醐味の一つである。例えばモンスターが強力な攻撃を繰り出す際は,特徴的な事前動作をすることが多い。鹿が突進してくる前には目が赤く光ったり,ヒューマノイドが手に持った両手斧を振り下ろしてくる前には(当たり前だが)大きく振りかぶったりするので,その動作を見て攻撃を避けることが可能なのだ。従来のターゲット式のMMOでは,基本的にはキャラクター性能と,スキルを繰り出すタイミングが戦闘の鍵を握っていた。TERAではそれらに加えて,お互いの位置関係にもウェイトが置かれることになる。
もちろん“アクションゲーム”ほどのシビアさはなく,あくまでも“ノンターゲッティング”になったMMORPGである。アクションとRPGの比率に関しては,例えば同社のアクションRPG「ドラゴンネスト」と比較しても,RPG寄りといえるだろう。言い方を変えるなら,TERAはアクションゲームが苦手な人でも楽しめる作品だ。
逆に,アクションゲームではないため,例えばソーサラーが敵の攻撃をキーテクニックで完全回避しつつ,攻撃魔法を撃ちまくって格上の敵をノーダメージで倒す,といったようなことはさすがに難しい。
また,TERAには“ノンターゲッティング”以外の戦い方もある。一部のスキルが,「ロックオン」に対応しており,例えばアーチャーが“多重射撃”スキルのボタンを1回押すと,一時的にロックオンモードに変化する。この状態でカーソルを動かすと,複数のモンスターを捕捉でき,そこで再度スキルボタンを押すと,それぞれに向かって矢が放たれる,という流れだ。
こういった,ロックオンに対応したスキルは他にもいくつかあり,そのため本作は“ノンターゲッティング”ではなく,“フリーターゲッティング”を標榜しているのだ。
RMT