リネージュ2
RMTバルタザールがひどく咳き込み始めた。ルウンに近づくにつれて冷たくなっていく空気と、吹きつける潮風が彼の容態を悪化させた。
皆が焚き火に一番近い場所を譲ったりはしたものの、もともと彼の体は苛酷な旅に耐えられるほど丈夫ではなかったのだ。オフィリ
アはふらつくバルタザールの脇を支えたが、バルタザールは冷たく彼女を振り払った。ひどい熱だわ。汗だってこんなにかいてるし
オフィリアはバルタザールのつれない態度など、まったく気にする様子もなく彼の額に手を当てた。彼の額は冷や汗でびっしょり濡
れていた。意地を張ってるんじゃねぇ。俺だってこれ以上遅れたくないだけだグムンは荷物を前に縛ってバルタザールを背負った。カ
インがマントを脱いで、彼にかけてやった。オフィリアも頷いた。ルウンに近くなるにつれ、独特で奇妙な形の岩たちが目に付くよう
になった。その中でも天に向かって咆えるような形をした気味の悪い岩は特に印象的だった。バルタザールが言っていたのは、明らか
に昼に見た岩だった。くそっ、雨まで降り出しそうだぜオークの言葉は的中した。すぐに空が暗くなったかと思うと、ポツリポツリと
雨が降り始めた。わざと回り道をしたこともあった。いい訳をつけて旅程を遅らせたりもした。だが今は本当に道に迷っているのだ。
いくら行きたくはないとはいえ、仲間の命と引替えにするほどではなかった。
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